9月 2020

映像制作を行っていると、ブレをどうするかという問題に直面します。 演出としてブレを活かすこともあれば、ブレのないスムーズな映像が求められることも。 ブレない映像が求められる場合、いろいろな手法が取られます。移動しながら撮影を行う場合には、レール式・タイヤ式のドリー/移動車であったり、電動ジンバルの使用でスムーズな映像を実現させます。 最近ではカメラ内手振れ補正機能(IBIS)を各メーカーが搭載しているため、その機能も非常に有用ですね。 さてここに来て、海外映像制作者 Brandon Li氏が自身のYoutubeにて非常に興味深い動画をアップしています。 SONY製カメラの映像のブレを抑える、新たな手法の紹介です。 まずはその動画をご覧ください。 https://youtu.be/jpkKfk-pOFE 内蔵ジャイロセンサーのデータによる後処理方式 動画の内容を簡単に説明しますと、ボディ内手ブレ補正機能に使用されているジャイロセンサーのデータを利用して、SONYのソフトウェア「CATALYST」で後処理を行いブレのない映像を実現させるとのこと。 SONY製カメラの映像データをCATALYSTで処理する でもそれってPremiere Pro や Final Cut Proなどでも出来るよね?という疑問。当然です。 動画内では、Final Cut ProのSMOOTHCAM機能を使用した場合との比較がなされていますが、その差は歴然です。 収録された動画ファイルに、先述のジャイロセンサーデータも含まれていると思われ、それをSONY製ソフトウェアであるCATALYSTだけが取り出して利用できるのだと思われます。 動画を見ていただけると分かりますが、手持ちの映像にも関わらず、非常にスムーズ!本当に驚きです。 他にもジンバルを併用した場合など、様々なテストが行われていて非常に興味深い内容です。 どうやって使うのか? 動画の解説によると、カメラ内手ブレ補正機能をオフにして収録する必要があります。それで最初はブレブレの映像が出来上がるわけですが、CATALYSTで補正をするとビックリ。最初から手振れ補正を使用した映像よりもスムーズな仕上がりになるわけです。 非常に簡単そうですね。 ただ、処理された映像はクロップされてしまいます。大幅にクロップされるわけではありませんが、フレームアウトすることを念頭に撮影することも求められそうです。 SONYのカメラならどれでもOKなのか 残念ながら、すべてのカメラでこの機能が使用できるわけではありません。 現在対応しているのは以下のカメラ(2020.9月現在) FX9α7sⅢZV-1RX0Ⅱ 対応機種は、その他にも広がる可能性もありますので要注目です。 また、SONY以外のメーカーもこの手法を取り入れてくることも考えられますね。 今後この機能はどうなっていくのか 本当に素晴らしい機能なので、さらに改良改善が重ねられていくことでしょう。よりスムーズさが向上することや、クロップ率を低下させることなどさらに使いやすくなることを期待したいですね。 そして、現在は映像を取り込んでPCで処理するという工程が撮影者に求められるわけですが、いずれはカメラ内で完結するようになるのではと考えます。いまのカメラサイズ内で熱問題や搭載CPUの処理速度など色々なことをクリアしなければならないと思いますが、技術者の皆さんには是非頑張っていただきたい! 撮影者のために機能向上を実現してくださっているメーカー・技術者の皆さんに、心より感謝と敬意を込めてこの記事を結びます。